アイデンティティー

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インタビュー企画第1回:飴宍飴美(アプサラス)

どうも。ふぁずです。さて、当ブログのインタビュー企画がついに始動でございます。不定期のマイペースな更新ではありますが、毎回素敵なインタビュー記事を公開する事を約束します。

 

さて、記念すべき第1回は、今年2月に結成したばかりの東方アレンジサークル/オリジナルバンド「アプサラス」のリーダーで、ギター・作曲・作詞担当の飴宍飴美さんにインタビューしました。

新進気鋭のクリエイターのインタビュー記事、心してじっくりと読んで下さい。

 

  


 

ーよろしくお願いします。では、最初の質問をさせて頂きます。飴宍さんが所属する東方アレンジサークル/オリジナルバンド「アプサラス」さんの音源を聴かせて頂いたのですが、なかなかジャンルを形容しがたい独特な世界観を感じました。また、所有されてる機材も比較的オールマイティ(特に宅録環境。詳細は後述)なものばかりに感じます。そこで、飴宍さんの元来の出自である音楽ジャンルを教えていただきたいです。

 

自分のルーツたる音楽は、THE BACK HORN9mm Parabellum BulletCOALTAR OF THE DEEPERS、00年代のアニメソング、そして自分の親の世代が好んで聴いていた歌謡曲フォークソングです。特にTHE BACK HORNと、9mm Parabellum Bulletには強い影響を受けていると自分で感じています。要するに、混ぜ物の歌謡ハードコアパンク、アニメソング、フォークソング、歌謡曲ですね。

また、一時、様々なメタルに傾倒していた時期もありました。ドラムの異様な手数はそこに顕れていると思います。

 

ーなるほど。アプサラスの楽曲の傾向として、基本的に激しめであったりメリハリがあるのも頷けます。では、ルーツを教えていただいたところで、作曲時のルーチン等がありましたら教えてください。

 

必ずギターとドラム、もしくは歌メロとドラムのみからスタートします。
まず鼻歌や、ギターを弾いていて良いフレーズやコード進行が降ってきたら、DAWを起動しドラムを作り込んで細かいリズム感を与え雰囲気をチェックします。雰囲気が自分の抱えている風景や感覚、メッセージ等にマッチしたら、その時点で仮の題名を付けます。そのあとは仮題名に合わせて、自分の持つイメージを引き出し、またそのイメージから楽曲に与えるように、音色、楽曲全体の構成、メロディなどを作り込んでいきます。

 

ーなるほどありがとうございます。では、その細かい作曲の工程の中で一番重きを置いていることとその理由、そして、作詞について何かこだわりがありましたら教えてください。

 

一番重きを置いているポイントは仮題名や歌詞(=自分の中のイメージ)と、楽曲全体の雰囲気とのバランスです。
例として飴宍飴美個人のSoundCloudの「変身」を挙げますが、これは公開当時多くの人から「曲調に対して歌詞が暗すぎる」と言われました。ですが、自分の中ではこれは正答です。「変身」は、その名の通り、フランツ・カフカの「変身」にインスパイアされて書いた歌なのですが、それを自分なりに前向きに捉えた結果があの曲調と音色になっています。元ネタでも、グレゴール・ザムザの死や、死後の家族のふるまいは、一種の爽やかさや前向きな姿勢を感じさせます。それを鋭くしたものなのです。
このように、自分は常に題名と曲の雰囲気が究極的には釣り合うようにしています。理由は……至極単純で、自分にはこのやり方しか無いからです。作曲を始めたのは中学の時ですが、その頃からこういった手法しかとることができなかったようです。
アプサラスは今後、今までの「俺が俺が」というようなワンマン作詞作曲体制から、3人の個性が調合された姿に変っていくと思います。その時はまた、新たな「重点」を見出しているかもしれません。期待していてください!
作詞のこだわりは、とにかく豊かな空気感を大切にすることです。自分はメッセージ性の強い曲であっても、直接訴えかけるような言葉はほとんど入れません。大抵は物体や状況の変化等を記述して表現します。もちろん、ストレートな歌詞が嫌い、悪いと言っているわけではないです。ただ、自分は映画館の最高の席で観ているかのような距離感、空気感がとても好きで、それ故に回りくどい表現になっているし、自分はそれを積極的に行っています。古めかしい表現をしたり、文法を強引にサウンドと組み合わせたりして遠まわしにするのも、その一環です。
また、こだわりというほどではありませんが、秋に出した1stオリジナルEP「眼差し」の「物忌み」という歌では、造語を使っています。「爻遮羅司」という単語が出てきますが、これは爻(占いの記号。運命の象徴として使っています)、遮(運命を遮ってでも実利を掴み取るほどの強さを表しています)、羅司(羅の原義は鳥を捕まえる網です。ここから、緻密な戦略を練るという意味を造り出しています。そこに司という字を付ける事で、思い通りに事を運ぶ者、という意味にしています)の4字を誇張、若しくは捻じ曲げて捉え、繋げて、さらに意味を誇張し、婉曲的に表現したものです。
歌詞はとてもこだわっている部分ですし、一番すらすらと進む部分でもあります。後から手直しすることや、全消しすることはたまにありますが、速い時は1曲分の長さの2倍程度で書き終わる事もあります。

 

ーおお、ものすごいこだわりですね。これだけ濃い内容の話をして頂けて嬉しいです。ファンの皆様も喜ぶような話ではないでしょうか。恐らくこのインタビューを見終わった後にアプサラスの音源を聴いた時、新しい発見があるかもしれませんね。

さて、ここでアプサラスの製作の今後の体制の話がちらっと見えたところで、バンドの話に移りましょう。まず、アプサラスの結成のきっかけ、流れはどんな感じだったんでしょうか?

 

まず初めに、今年の1月、2月頃に1日に1曲から2曲のペースでデモ音源をゴリゴリ作ってしまいました。とてもハイな精神で危険な状態でした。で、その流れでバンドを組みたいと思い、ネットでメンバーの募集をかけたのですが、ロクな人が来なかったわけです。
そんな中、キーボードの葦田が、「もし春までにメンバーが集まらなかったら入るよ」と言ってくれて、結局春までメンバーが集まる気配も無かったため、そこからアプサラスがスタートしました。
当初自分がギターボーカルをやるつもりでしたが、自分の声質が作った歌と合わなかったという現実と、理想は無垢な質感の女性ボーカルだと考えていたところで、葦田の友人のあまはの歌声をnanaで聴く機会があり、これは俺の歌にハマるぞと考えボーカルとして加入してくれないかとお願いしました。流れはこのような感じです。

 

ーすんなり集まったわけではなく、かなりの紆余曲折があったんですね。そして、「ネットでメンバー募集したらロクなやつが来ない」、これはバンドマンあるあるですね(笑)

 

俺がギタボ志望だって言ってるのにギタボ志望が3人くらい来たんですよね。

 

ーええ…ひどすぎる…。結成に至るまでの道のり、キーボードの葦田さんが結構重要な役割だったんですね。

 

そうですね。葦田がいなければ、今頃アプサラスは無いとさえ思います。

 

ーすごい…。もはや葦田さん様様ですね(笑)さて、次はほんのちょっとだけ踏み込んだ話をさせて頂きます。

 

気を引き締めていきます。

 

ーありがとうございます。各メンバーのツイッターを拝見させて頂くと、皆さんとても個性、クセの強い方に見えます。製作期間は、「全員の個性・クセ・性格がぶつかり合って喧嘩や衝突を繰り返しながら製作する」のか、「穏やかに、楽しく平和に製作する」のか、どちらなんでしょうか?

 

喧嘩や衝突は一切ありませんね。自分がそういう状況に置かれると一切合切何もできなくなってしまうタイプなので、積極的に避けています。それ以前にあまはも葦田も実は(実はというのも失礼な話ですが)極めて成熟した人格を持っているし、自分のできること、できないことがわかっているようなので、制作は常に和やかに進みます。
しいて言えば、過去三回の頒布やリリース、全部スケジュールがカッツカツのキッツキツだったので、そういう意味ではピリピリしていました……。

 

ーそうなんですね…!スケジュールについてはどのバンドも悩むことだとは思いますが、喧嘩・衝突が一切無いというのは羨ましがる(という言い方は変ですが)バンドもいるのではないでしょうか。人間関係については、バンドによっては最も重要な課題になる場合もあります。インタビューをさせて頂いていて、アプサラスのお三方は、「集まるべくして集まった」ように感じました。かっちりとはまっているというか。

 

自分もそのように感じています。今の3人は本当に完璧な図形を描いていると思いますね。

 

ー飴宍さんの言葉は、ファンにとって、とても嬉しいものだと思います!では、そんな言葉が聞けたところで、最後にアプサラスの今後や目標、そして飴宍さん自身の今後や目標について、教えてください!

 

今後のアプサラスとして言える事は、とりあえず来年の春例大祭に参加する準備をしているということです。あとは、過去に頒布した東方アレンジをリファインして、アルバムとしてリリースする計画もあります。
アプサラスはまだ始まったばかりですが、既にメンバーは強い意志で団結し、また自分たちの可能性を感じています。具体的な目標は今はまだお話できませんが、とにかく多くの人に興奮と情熱と感動を与えるために、これからも頑張っていきます。アプサラスを結成し、我々は沢山の大切な事を学びました。そしてこれからも学び、成長していくでしょう。その果て、命が燃え尽きるまで、このバンドを暖かく見守って下さると幸いであります。

飴宍個人としましては、とりあえず今抱えてる問題を解決したら、多くの時間を音楽の鍛錬とインプットとアウトプットに費やそうと思っています。自分はロックの文化に、真摯に向き合い、それを後世へ紡いでいくという情熱的な意志を持っています。わかりやすい形で目標を立てているとすれば、10年かかってでも音楽で少しは稼げるようになれたらいいなと思っています。それは商業主義が良し悪しという話題ではなくて、お金になるというのは文化を紡ぐことができたという証の一部だと思っているからです。
アプサラスも、ゆくゆくはそうなれたらいいなとも、よく思っています。

夢は無限、最果てなど無く、常に清冽な水をその身に宿し、気合い入れて行きます。

よろしくお願いします!

 

アプサラスの目指す道、そして飴宍さんの音楽への熱い思いがひしひしと伝わりました!アプサラスと飴宍さんの今後の更なるご活躍を祈念して、インタビューを終わらせて頂きます。本当にありがとうございました!

 

こちらこそありがとうございました!

 


 

 

以上になります。続いて、飴宍さんの使用している機材を見ていきましょう。

 

飴宍's Equipment

f:id:fuzzdesuyo:20171115214107j:plainまず、メインギターはフェンダーテレキャスター。叔父から譲り受けた物で、詳細は分からないが、20年以上前の物だそう。当初はフロントピックアップはハイカットトーン回路だった物をミックスが出るように変更してある。本人曰く、「リアピックアップはガッツがあり、フロントピックアップは甘く透き通っている」との事。

 

 

 

 

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 2本目は、IbanezのSAシリーズ。フロントとセンターのピックアップを外し、リアにEMGの81Xを搭載、トーンは無しという大胆な改造が施されている。
このような改造を施した理由は、「当時は、シングルコイルなんていらねえ!と思っていた」「ステージ上でのトーンいじりに懲り、トーンを一切いじらず、メロウな音を作るときはエフェクターで調整するから」だそう。

気になるサウンドは、2017年の春例大祭にて頒布された「社に潜む」で確認出来る。

 

 

 

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ベースは、 メーカー不明のPJタイプのジャズベース。岐阜のメロコアバンドのべーシストから譲り受けたそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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エフェクターは、現在リリースしてる音源まではZOOM G3を使用。セッティングは下記の通り。

 

 

・春例(Ibanez SA):TS→Diezel Herbertシミュ、TS→ENGL Invaderシミュ、Fender Bassmanシミュ、VOX AC30風シミュ

・秋例(テレ):RAT→Fender Bassmanシミュ、RAT→VOX AC30風シミュ

 

今後の音作りは全てPositive gridのBIAS AMPに移行(ベースは既にBIAS AMPのベースアンプシミュを取り入れてるようだ)する予定だそう。他DTM関連は下記。

DAW:Studio One

プラグイン等:Addictive Drums2(Black Velvet,Fairfax1,Metal),Waves Platinumバンドル,Studio One付属プラグイン,その他フリーソフト)

 

全体的に、独特で興味深い機材が揃っています。今後はBIAS AMPに移行との事で、どのような変化をするのか楽しみです。

 というわけで今回のインタビュー記事はここまで。新進気鋭の東方アレンジサークル/オリジナルバンド「アプサラス」の更なる活躍に期待!!!!!

 


 

[アプサラス]

飴宍飴美(ギター)、葦田(キーボード)、あまは(ボーカル)の3人による東方アレンジ/オリジナルバンド。2017年2月結成、同年3月活動開始。5月には第14回博麗神社例大祭にて東方ヴォーカルアレンジシングル「社に潜む」、9月には1stオリジナルEP「眼差し」を、10月には博麗神社秋季例大祭にて東方ヴォーカルアレンジシングル+ブックレット「星屑コンフェティ」を頒布。

 

公式HP

[音源]

アンテナ(new mix)

(社に潜む」収録曲のnew mix版)

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眼差しEP

 


 

次回は、東方アレンジサークル「豊島怪童」の「船底」さんにインタビューしちゃいます!豪華な機材大公開!そして止まらない機材&音楽トーク!お楽しみに!

 

 


(インタビュー・編集)ふぁず