インタビュー企画第2回:船底(豊島怪童)
どうも、ふぁずです。さあさあ、インタビュー企画第2回です。
今回は、東方アレンジサークル「豊島怪童」の船底さんにインタビューしました。
めちゃくちゃに濃い機材トーク・音楽トークをお楽しみください。
ーそれでは、インタビューを始めさせて頂きます。今回、インタビュー前に機材の写真を送って頂きました(機材詳細は後述)が、この数は東方界隈随一だと思います。感服しました。この膨大な機材の中でも一番のお気に入りはズバリ、どれですか?
お気に入りはギターだとストラトキャスターとSG、エフェクターはCE-1、ベースは74年のプレシジョンベースですね!
ーなるほどなるほど。この4つの中でもストラトキャスターとSGがとても興味深いです。詳細、教えていただけますか?また、お気に入りのポイント、こだわりなどありましたらそちらもお願いします。
ストラトキャスターの気に入ってるポイントは何をしても言う事を聞かない所が好きですね。ギターとしてのレスポンスや音は申し分なく良いんですがどうしても言う事を聞かないんですよね。そこが一番好きですね。好きに弾かせてくれない、常に何かを考えさせられなが弾く。だから曲によっては全く合わなくて使わない時もあります。
68年のSGも似たギターで全く言う事を聞かないんですよね(笑)性格が全く逆なので曲を作る時、レコする時にはどっちかが必ずリードパートにいますね。SGはオリジナルパーツの部分が少なくて前のオーナーに使えるように改造されてるのでプレイヤー目線だととても楽しいギターなのですが曲に混ぜる時にとても苦労しますね。その点ストラトは協調性があるので混ぜるのは楽です。
ーストラトキャスターは中々面白いパーツの組み合わせですね。正に唯一無二。そして、所有してる機材、ヴィンテージの割合が高めですが、何か理由があるのでしょうか?
理由はちゃんとあります。ただヴィンテージならなんでも良いわけではないんですよ。
1.見た目がカッコいいこと
2.音が特徴的であること、弾き手によって音が変わる事
3.暴力的な音が出る事
この3つをクリアした楽器だけで構成されてますね。メロディーメーカー、ハイフライヤー、レスポールJr、L-1000、StingRayはメンバーの機材なんですが曲によって借りたり貸したりしてます。なのでメンバー内で貸出自由にしてますね。
ヴィンテージを選んでる理由は適材適所だと思ってるんですよね。ヴィンテージにはヴィンテージにしか出来ないことがあって現行には現行にしか出来ないことがある。豊島怪童には現行よりもヴィンテージの方が相性がいいからヴィンテージを使ってるって言うのが理由ですね。自分はピッキングが強いので現行よりニュアンスが出やすいのと見た目でヴィンテージを使ってます。ベースの青ちゃんは指弾きなんですが異様に指の力が強くて弾いてると言うより弦を叩いてるんです。それを現行でやるとハイが異様に強く出てローがあまり出なかったんですよね。ギターとかベースとか改造して色々試したんですけど一番しっくり来たのがヴィンテージだったって言うのが一番の理由かもしれません。
ヴィンテージ楽器は当たり外れが激しいと言いますが自分は当たり外れではなくて使用用途が限られてるって考え方をしています。自分にとってのハズレ個体であっても他人が弾けばアタリ個体もあるので自分のやる音楽に対してアタリかハズレかを選んでます。例えばサーフ系の音楽をやる人にうちの機材を渡してもあんまりしっくりこないと思うんですよね。逆に自分にサーフ系の音楽をやってる人の楽器を渡されてもしっくりこない可能性が高いと思うんですよ。そこがアタリ、ハズレじゃないかなって思ってるんですよね。
ヴィンテージは良くて現行が悪いと言う考え方はないんですが気がついたらヴィンテージの割合が増えてました。多分古い音楽が好きなのでそれに近しい音が出る楽器を探していたらこうなったのかもしれません。
ーなるほど。中々独特の、言わば「ヴィンテージギター理論」というか、考え方ですね。独特ではありますが、分かる気はします。好きな音楽の話がチラッと見えたので、次は好きな音楽について。船底さんの音楽を始めるきっかけとなったバンドは何ですか?
バンドだとRed Hot Chilli Pepersが一番最初なのかなぁ。後は椎名林檎さんとかマキシマムザホルモンとかミッシェルガンエレファント、ゆらゆら帝国、ナンバーガール、チャットモンチー、エルレガーデン、ミドリ、ワッツーシゾンビ、THE PINBALLS、GO!GO!7188とかですね。GO!GO!7188が一番最初にバンドをやりたいって思ったバンドかもしれません。狂ったように聴いてました(笑)
ーふむふむ。船底さんがレッチリ好きなのは知っていたのですが、まさか国内バンドの名前がこんなに上がるとは思いませんでした!特にGO!GO!7188がバンドやるきっかけとは、意外です。
国内のバンドの方が聴いてましたね。昔、洋楽は一切聴いていなかったかもしれませんね。洋楽を聴き始めたのは今の豊島怪童が出来た辺りからだと思います。
ー意外です、本当に。そして、やはりこうして邦楽漬けだったのが変わるくらいにはRed Hot Chili Peppersから受けた影響は大きなものだったのではないか、と思うのですが、実際はどうなんでしょうか。
実はレッチリを初めて聴いたのは中学時代の友人の家で流れてたのが初めてなんですけどその当時は全く訳のわからない音楽だなって思いました(笑)小中高と音楽があまり好きじゃなくてアウトドアな事ばっかりしてたんですが、高校の終わりくらいにギターを買って弾いてて友人の家でBy The Wayのイントロを聴いた時に、なにしたらこんな音出るんだよって衝撃を受けてから聴くようになりました。今思えばただのブラッシングなんですが当時は何をしてるか全く分からずに興奮したのを覚えてます。
それからしばらく聞かないでいて、さて豊島怪童を始めるかって時にまたBy The Wayをふっと聴いたんですよ。そこからドツボにハマりましたね。CDだけじゃ飽き足らずレコードまで買いましたから(笑)
ーなるほどー!小中高と音楽好きではなかったとは、またまた意外ですね…!そして、By the way名曲ですよね。いつ聴いても体に沁み渡る名曲だと思います。
船底さんが高校生の頃衝撃を受けたRed Hot Chili PeppersのBy The Way
Red Hot Chili Peppersにハマってからマーズヴォルタ、ジェフベック、ジミヘンドリクス、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、65daysofstaticとかの洋楽を聴くようになりましたね。マーズヴォルタと65daysofstaticにすごいハマって曲展開の読めないバンドがやりたかったんですよね(笑)エフェクターにこだわり出したのはマーズヴォルタからですかね。
ーここでまさかの65dos!意外!ポストロック好きなら避けては通れないバンドですね。
65dosいいですよね!あ、実はジャンルを気にして音楽を聴いた事ないんですよね(笑)ポストロックならこれ!とか意識したことがなくて適当に借りたり買ったりして聴いてました(笑)
ー確かにそう言われてみると、先程上げていたアーティストは、決定的な共通項が少ないですね。
そうなんですよ。勧められたらとりあえず聴く。ジャケが気になったらとりあえず買うか借りるって感じですね。だからイングヴェイ・マルムスティーンやエクストリーム、ヴァン・ヘイレン、ザック・ワイルド、Mr.Bigとかのハードロック系も聴きますね。後は、ニルヴァーナとかストレイキャッツも!
ー本当に何でも有りですね!(笑)
後、話は変わりますが、実はギターを弾きたくてバンドを始めたんじゃないんですよ(笑)
ーえっ、ギター志望じゃなかったんですか?
そうです(笑)最初はベースがやりたくてバンドをしようとしてたんですが、一番最初のバンドを組んだ時に友人がベースで、ギターを仕方なく弾いて、その後豊島怪童の前身のバンドを組んだ時にベースの青ちゃんに楽器何やりたい?って聴いたら弦の数が少ないからベースが良いって言われて仕方なくギターを弾いてました(笑)
後、ギター弾くなら歌えって言われてギターボーカルもしてました(笑)豊島怪童でようやくギターボーカルの呪縛から解放されてギターとたまにコーラスに落ち着きましたけど(笑)
ー本当に今回のインタビューは意外な話だらけです。というか、仕方なくギター担当になるって中々稀有なパターンかと思います。
一番最初はじゃんけんに負けてギターボーカルになりました。普通逆なはずなんですけどね(笑)じゃんけんに負けたからベースになるのが王道なハズなのにそうならなかったんですよ。
なので仕方なくベースを家で一人で弾いてました(笑)マキシマムザホルモンの上ちゃんが大好きでチョッパーしたくて仕方なかったんです。後はTHE BACK HORNの岡峰さんとか。
ーええ、そうだったんですか・・・。
むしろギター弾かないでベースばっかり弾いてましたね。
ーまたまた意外・・・!さてさて、意外な面が沢山ある豊島怪童と船底さんですが、バンド全体の今後や目標、また船底さん自身の今後や目標は何でしょうか?今現在、豊島怪童の公式ツイッターは「練習期間中」となってますから、ファンは気になるかと思います。
バンドの目標はとりあえずアルバムを作ることですね。今まで5曲入りのCDしか作ってないので8曲入りのCDを作りたいと思ってます。
個人的な目標はもっと色々なジャンルの曲を作ることですねなんやかんやで似た系統の曲が多いので全く別ジャンルの曲を作りたいなって思ってます。例えばジャズやボサノバとか(笑)
後はリズムギターの強化が個人的な目標の中で一番強いかもしれませんね。リードギターって正直あってもなくてもどっちでもいいって考え方なんですよ。ベースとドラムとボーカルがあれば音楽として成立はする。そこに装飾的な音としてリードギターがいるって考え方なんですよね。 なのでリズムギターをベースの和音バージョンだってずっと考えててパワーコードで音圧マシマシにすればいいかなって考え方だったんですけど最近ちょっと違うなって思うようになってきたんですよね。リズムギターはボーカルの支えになってあげなきゃいけないんだなって一個前のCD 「Can'tSay」で気がついて今一からリズムギターについて見直してる段階です。リズムギターはずっとGretschのTennesseanをメインで使ってきたんですが最近あえてSGでやってみたりとか色々実験を繰り返してますね。ストラトキャスターでリズムギター弾いたりとか。
ー船底さんは本当に探究心、好奇心の塊ですね(笑)
探究心と好奇心しかないですね(笑)曲を作る時にフレーズより先に機材から揃えるんですよ。フレーズよりも先に音を似せる努力をしますね。そしたらこんな機材量になってました(笑)ストラトキャスターを愛用してるのも元レッチリのジョンが使ってるからっていうのもありますね。ジョンサウンドを真似してた結果今の音に落ち着いているので。
ーいやあ…尊敬します本当に。音楽や機材への情熱を存分に感じる事が出来ました!
船底さんのこの底知れぬ探究心好奇心がある限りは、ファンも安心なのではないでしょうか!
自分は音楽に飽きない事を祈ってます(笑)
ーいやあ、誰がどう見ても飽きるようには見えませんよ(笑)
では、最後に、ファンに一言メッセージをお願いします。
CDはCDで暑苦しい感じですがライブはもっと暑苦しい感じなので、もしライブやる日に暇だったら遊びに来てください。お酒やジュースを飲みながら楽器や音楽の事で沢山語らいましょう!ちゃお!
ーありがとうございます!それではこの辺で〆とさせて頂きましょう!本日はありがとうございました!
ありがとうございました!
続いて、船底さんの機材を見ていきましょう。
船底's Equipment
まずは、インタビュー時に詳細を熱く語ってくれたストラトキャスター。その内容をまとめると、ボディはMJT製、ネックは詳細不明、ピックアップはElectric City Pickups製。
続いて一気に3本。左から、MJT NoCaster、1962年製Gretsch Tennessean、1968年製Gibson SG Special。
続いてベース。左から、1974年製Fender Precision Bass、Modulus FB4、1981年製G&L L-1000。
こちらは、左から、1977年製Musicman Stingray、Atelier Z MZ-CTS。
この写真は、左から、1965年製Gibson MelodyMaker、1968年製Univox Hi Fryer、1959年製Gibson LesPaul Jr DC。写真奥のアンプは1979年製Fender TwinReverb。
宅録機材は、RME FireFace UCとAvalon U5。
ものすごい豪華な環境ですね…。圧巻です。
というわけで今回はここまで。アルバムがとても楽しみです!
[豊島怪童]
船底(ギター)、ぶっしゅ(ボーカル)、ナツジー(ドラム)、BLUE(ベース)の4人による東方アレンジサークル。現在までに、7枚の音源を発表している。
[音源]
蜜罠(XFD)
(※2015年の冬コミにて頒布したCDのXFD)
Cutting Killer Doll
Anemone(XFD。船底船長室名義)
次回は、「川崎ヒナ(Pills the candy girl、ex.零雛ラボラトリー、ex.海中庭園)」さんにインタビューします!お楽しみに!
インタビュー・編集:ふぁず